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六本木で働く社長のブログ

浅田次郎「大名倒産」が面白い


浅田次郎の「大名倒産」という本を読みました。
上下2巻本ですが、4,5日で読み終えました。

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時は幕末。
新潟県村上市あたりの藩、丹生山藩(架空の藩)の小石川、江戸上屋敷では、ある謀略が進められていた。

それは、計画倒産

大名が計画倒産するのです。


というのも、この藩、関ヶ原からの譜代大名として、松平姓を名乗り、260年間、徳川幕藩体制を支えてきました。

ただこの260年間にチリも積もった借金が25万石。
利息の支払いだけで年3万石。
一方で収入はわずか1万石。

もう実質的には破綻しています。

しかし、藩の武士へ払う給料を半分借り上げる、金を借りてる三井や鴻池といった商家には返済を猶予してもらうなどしてなんとかやってきた。

そんな折、藩主の嫡男(長男)が若くして病で死去。
次男は少し知恵が足りない、三男は病弱。


そこで跡継ぎとして選ばれたのが、藩主が下屋敷の手伝い女に産ませ母子ともに下屋敷の足軽男に縁組させた小四郎。

藩主はこの小四郎を認知し、四男および後継者として彼が9歳の時、上屋敷に迎える。
ただ父は、この、足軽男を父として育った実の息子には全く愛情が沸かない。


実父である藩主はそのまま隠居し、小次郎は長男が病死するとともに新藩主へ。

隠居した元藩主は一部の幹部と結託して、倒産資金として長年にわたり金を蓄えてきた。元藩主の青写真はこうだ。すなわち、

債権者らには「お断り」つまり借金帳消しを宣言すること。

お断り、それは八代将軍吉宗が作った大名による借金帳消し制度だが、ほとんど実行されることは稀だという。実行するにも大口債権者と水面下で返済のリスケを綿密に打ち合わせてから行うという。


「お断り」を一度も体験せずに生涯を終えた金貸し、商人も多い。
まあそれだけ借金を、大名らは何代にも渡って貯めていくわけだ。

いずれにせよ、この足軽の下で育った新しい、若き丹生山藩藩主に「お断り」を宣言させる。

そしてお家取り潰しで、元藩主らは他の譜代大名の預かりとなるだろう。
藩主小四郎は責任をとって切腹。

また隠匿してきた金は武士たちの当面の生活資金として分配。

これで一件落着。これが元藩主が思い描いていた、ある意味極めて身勝手で残酷な絵だ。

そもそも、金は汚れあるものとして、ろくに勘定をすることさえ拒んできた武士階級は、代々蓄積されてきた莫大な借金を抱えて、台頭する商業資本(商人)たちといかに問題を解決するのか?


そして若き丹生山藩主小四郎がとった驚きの行動とは。

さてここに貧乏神だの疫病神だの大黒天だの七福神など神様たちが勢揃いして小四郎を後押しする。

あ、鮭、それも塩っ辛い焼鮭が好きな人(まさに僕がそうなのだけど)に、本書はおすすめです。

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村上の鮭(今年正月撮影)



ぜひご興味があったらご一読を。