6AKA! (ロクアカ)

茅場町で働く社長のブログ

石中に火あり、打たずんば出でず


今、山本周五郎全集をKindleで読んでいます。
読み放題なので無料で読めます。

 

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その中に興味深い記述を見つけたのでそれをシェアしようと思います。


時は江戸、三沢伊兵衛という武士がいた。

ある藩の高官の嫡男として生まれたが、小さい頃から身体が弱く、意思も薄弱。
そこで、徹底的に武道を叩き込まれた。

 

その結果、成長した頃には剣道では並ぶものがいないほど強くなった。
道場の師範も一瞬で叩きのめしてしまう。

 

しかし、剣は強い一方で、弱気な性格はそのままで、とにかく争いごとが大嫌い。

 

ある日、彼が散歩していると、5人の侍が一人の若侍を取り囲んで、切ろうとている。
彼は飛び出していって、意味のない刃傷(じんしょう)沙汰を防ごうとする。


「お侍さんたち、1人に多数はいけません。やめましょうよ」と場をなだめようとする。

 


取り囲んでいた侍たちは、邪魔をされたと当初の標的を伊兵衛に変更。

刀を抜いて次から次へと飛びかかってくる。


ところが・・・

 

 

伊兵衛は軽やかに身をかわし、一瞬で5人の侍から刀を取り上げてしまう。

 

 

それをたまたま通りかかった国家老が見ていた。

これは稀に見る才能だと・・・彼を若い藩主の武道の師範として迎える話を持ちかける。。

 

伊兵衛はなぜこんなにも強いのか・・・

これについての記述が興味深い。

 

 

(以下抜粋)

 

――石中に火あり、打たずんば出でず。

 

伊兵衛はこの言葉を守り本尊のようにしていた。学問でも武芸でも、困難なところへぶつかるとこれをじっと考える。

 

石の中に火がある、打たなければ出ない、どのように打つか、さあ、どう打ったら石中の火を発することができるか、さあ……

こんなぐあいにくふうするのである。

 

すると(万事とはいかないが)たいていのばあい打開の途がついた。

 

(ここまで)

 

山本周五郎「雨あがる」より


この文章を読んでなるほど、と思いました。

石は、他の石とぶつけると火花を散らす。

 

つまり表面が冷たく硬い、のっぺらぼうの石もその中にはメラメラと燃え上がる「火」の要素を本来持っている、ということ。

 

その火を打ち出すこと。

 

 

あらゆる物事は表面的な退屈さ、つまらなさとは裏腹に、周囲から見えない真ん中にとんでもない可能性を秘めている、ということ。

その「火」を見つけ、外へ打ち出すことができるかどうか。

 

そのためにはあらゆる方面から角度を変えて対象物を見なくてはならない。

 

 

これってビジネスも一緒だと思いました。


直面している問題がある。

なんとかして解決したい。

 

 

ところが僕らは自分の慣習的なアプローチ、あるいは世間一般からそのやり方が普通だと思われているような角度からしか見ないわけである。


その問題の中、あるいは周囲から気づかれにくいところにある「火」を見つけ、打ち出すことができれば一瞬で問題は解消する。

 

例えば・・・
なにか新しい商品あるいはサービスを開発した。

 

それを売り出そうとマーケティングチームは必死になる。こんなときも様々な角度からその商品、サービスを見つめるとその中心に「火」を見つけることができるかもしれません。

 

それを打ち出せば自ずと新商品はバカ売れするわけです。


この世でヒット商品と言われているものはどれもその「火」を打ち出すことに成功したのでしょう。

 

石の中の火を見つけること。打ち出すこと。
打ち出すことができる角度を見つけること。

 

少なくともその努力をすること。

これすごく重要だと思った2月5日(金)の朝でした・・・


ではでは

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